
「あなたたちへどのようにお礼をしたら良いのか分かりません」
「お礼なんて必要ないよ。私たちはロコだから。これはアロハスピリットだよ」
タンタラスの丘へ向かうRound Top Driveでの会話です。

平日木曜日の夜8pm過ぎ、夜景や星空を眺めるため、タンタラスの丘の坂道をレンタカーで登っていました。180度のカーブや繰り返しのカーブもある歩道のない片側一車線の道路で、タイヤがパンクしてしまいました。
ハザードランプを付けて、目一杯道路端に寄せましたが、後続の車、前方の車がすれ違うのに見通しを悪くしてしまっていました。
15m先に路地が見えたので、そこまで再度、車を走らせて停車しました。
その路地は車のすれ違いはお互いに注意すればなんとかできる道幅だったのですが、車が来なければいいなと考えていました。
ロードアシスタントの連絡先を確認したり、電話での会話を想定し、「パンクした」ことを英語でどのように言うのか調べたりしていると、パラパラと雨が降ってきました。解決するまで時間がかかるかもしれないと予感していました。

現在地も確認し、電話をしようとしたとき、1台の車が路地に入って来ました。
追い越そうとしてくれたとき、こちら車を少しバックさせようとしましたが、助手席から女性が
「どうしたの?何かあったの?」
と話し掛けてくれました。
「パンクしてしまいました(I got a flat tire.)、
そう伝えました。
「もう、ロードサービスに電話したの?」
「これからです…」
運転席にいる男性とひと言ふた言会話をして、
「ここは狭いから、安全な場所に移動したら?奥に駐車場があるから付いて来て」
そう言ってくれました。
車のすれ違いを気にしていた私は、少しホッとしたのを覚えています。
「少しバックしてもらえる?」
追い越してもらうのに、少しバックし、前を走る2人の車について行きました。100m程走ると、ひらけた場所があり、周りを気にせず、車を止めることができました。
男性から女性に、私の代わりに電話してあげたらと話してくれ、レンタカー会社、ロードサービスへ彼女が電話してくれることになりました。
レンタカー会社は営業時間外だったようです。また、ロードサービスは、どうしてか、うまく会話が伝わらないようでした。
その間、男性が英語で書かれたレンタカーの説明書きを読んでくれていて、私が保険に加入していること、レンタカー会社にペナルティー料金を支払わなくても良いことを確認してくれました。

ロードサービスとの電話は保留時間も長かったことから、男性が「スペアタイヤに交換しよう」と提案してくれました。
トランクにスペアタイヤが積んであることを確認して、明かりのある彼のガレージに車を移動し、スペアタイヤへの交換を始めてくれました。
申し訳ないので手伝うことを申し出ると、
「Stay clean.」
と言ってくれ、汗をかきながら、ジャッキで車体を上げるところから、手際よくあっという間にタイヤ交換を行ってくれました。
その間も女性は私たちが心配そうにしてたからか、
「いつまで車を借りている予定だったの?」
「いつからハワイにいるの?」
「ワイキキに泊まっているの?」
と話し掛けてくれていました。
タイヤ交換を終えて、冒頭の会話です。
精一杯のありがとうを伝えて、お別れしました。おかげさまで、10pm前にワイキキへ戻って来ることができました。
このとき、アロハスピリットを初めて知りました。よく考えれば、平日木曜日の夜8pm、自宅近くで困ってる外国人を助けることが自然にできるのはすごいと思います。
海外でパンクして、助けてくださったことへの御礼、英語の会話だけではうまく伝えきれなかったと思い、日本のお菓子を探して、手紙を書いて、また会いに行こうと決めました。

翌日、アラモアナのニーマン・マーカスで、ヨックモックを買い、御礼の手紙を書いて、夜、自宅を訪れてみました。
今度はレンタカーではなく、Uberで向かいます。
金曜日の夜だったからか、2人とも不在でした。30分程自宅前で待たせてもらいましたが、会うことはできなかったので、また来ようとワイキキに戻りました。
さらに翌日のお昼頃、また会えると良いなと思いながら、もう一度Uberで2人の自宅へ向かいました。電気が付いていました。
玄関に着くと網戸になっていて、リビングに男性がいるのが、そして、さらに奥、窓からの景色が見えました。ワイキキの海まで風景が抜けていて、とても素敵でした。
インターフォンを押すと、タイヤ交換を行なってくれた男性が玄関まで来てくれました。
「また会えて嬉しいです」
「感謝の気持ちを伝えさせて下さい」
「こちら日本のお菓子です。手紙を書きました」
会えて良かったです。
「今、奥様はいらっしゃらないのですか?」
ちょっと考えて、
「彼女は娘だよ。今日は仕事でいないんだ」
すぐに娘さんへ電話をかけてくださり、御礼を伝えることができました。
そのあとしばらく話をして、インスタグラムをフォローし合って、お別れをしました。
本当にありがとうございました。

帰国後、心温まるメッセージを受け取りました。
Have a safe trip home! Hope you folks enjoyed your time here, other than the flat tire experience…
Mahalo for your generous gift and heartfelt card… it’s a small world, hope we can keep in touch…
気をつけて帰ってね。パンクしてしまったことよりもハワイでの思い出が楽しいものだったら良いな。
贈り物と手紙ありがとう。イッツアスモールワールド。また連絡を取り合おう。
“It’s a small world”って、きっと「世界は狭く、友情で繋がるんだから、また連絡取り合おう」、そのような意味で使ったのかもしれないけど、私にはディズニーの「世界中どこだって笑いあり涙あり、みんなそれぞれ助け合う小さな世界♪」が浮かんで来ました。
パンクのことは「助け合いだから、気にしないでね」って。私たちも誰かが困っていたら、あなたたちのように必ず助けるようにします。
本当にありがとうございました。
おわりに
最後までご覧いただきありがとうございます。
素敵な出会いがハワイであったので、こうしてハワイに関する記事を書き始めています。
人と人が繋がってプライベートでもビジネスでも、笑いあり涙あり、みんなそれぞれが助け合う世の中になることのきっかけになれればと考えています。
「We're Hawaiian. 」 「We have Aloha spirit. 」 パンクを助けてくれたロコに「どのように御礼をしたら良いのか分からない。贈り物をしたいので、連絡先を教えて欲しい。」そう話したときに、[…]