貯蓄から投資へ!投資信託の仕組みと投資判断軸のヒントをご案内【ファイナンス教室】

投資検討の打ち合わせ

投資信託は、多くの投資家から集めた資金を1つにまとめて株式や債券など異なる銘柄や資産に分散して投資する仕組みです。

どのような株式や債券に投資するのかを運用の専門家に任せます。

多くの投資家から集めた資金をまとめて運用するため、投資家1人にとっては、少額な運用資金で株式市場などへの投資が可能です。

個人では手が出しにくい海外の株式や債券にも投資ができます。本当によくできています。

今回は、投資信託の仕組みと投資判断の軸をご案内していきます。

投資信託はインサイダー取引にはあたらない

椅子と窓

投資信託は、原則として、インサイダー取引にはあたりません。

多数の銘柄に同時に投資するためです。投資信託であっても、例えば自社株投信のような、信託財産を特定の上場会社等の特定有価証券のみに対する投資として運用する場合には、インサイダー取引規制の対象となることがあります。

インサイダー取引を防止するため、勤めている会社から上場株式の投資を制限されている方は多いと思います。

朝礼や研修で、インサイダー取引が会社だけでなく自分自身をも窮地に追いやってしまう話や自身で投資を行わなくても家族や友人にインサイダー情報を共有して、その家族や友人がインサイダー取引を行った場合にも罰則の対象になるといった話を聞き続けていると、株式投資に対して行動することにどんどんネガティブになっていきます。情報に触れることすら、避けるようになるのではないでしょうか。

インサイダー情報に触れる可能性があるから株式投資が制限されている職業についているということは、お客様と株式投資の話をする機会もあると思います。

株式の取引はダメだからと興味を示さず、情報をシャットアウトしてしまうと、株式投資について、自身の投資機会だけでなく、お客様との会話もできなくなってしまいます。

投資を行なっていないことを焦る必要はないので、せめて投資とギャンブルは違うことを捉えていただけますと嬉しいです。

投資信託の商品ガイド

投資信託は、実際には株式以外にも投資を向けることができます。そこで、投資商品全般の理解が必要かもしれません。

  株式(国内株式、外国株式)
  外国債権
  国内債権(国債、社債、地方債)
  不動産
  太陽光
  現金・定期預金
 外貨預金
  仮想通貨
  コモディティ(金、プラチナ)

低リスク・低リターンから、高リスク・高リターンに投資先を並べていくと、一般的には次の順番になります。

預金→国内債券→外国債券(先進国)→外国債券(新興国)→国内株式→外国株式(先進国)→外国株式(新興国)

リスクが低ければ、得られるリターンは低くなりますし、リスクが高ければ、得られるリターンは高くなります。

国内債券と国内株式のリスク・リターンの比較については、たとえば、経済が不況になったときの価値減少幅を比べると明らかです。

2008年のリーマンショックのあと、世界債券は▲18%下落したのに対して、世界株式の下落率は▲49%でした。

その分、株式の方が債券よりも高いリターンを期待することができます。

ここで比較したリスクは価格変動リスクですが、そのほかにも投資のリスクとしては次のリスクがあげられます。


  価格変動リスク:景気や企業業績の変動などで価格が変動するリスク
  金利変動リスク:金利が変動することで価格が変動するリスク
  為替変動リスク:為替レートが変動することで為替差損益が発生するリスク
  信用リスク:金融機関や企業が破綻して元本の一部または全部が返済されないリスク
  インフレリスク:インフレにより相対的なお金の価値が下がるリスク


投資信託では、運用においてリスクをできるだけ小さくするために、複数の商品を組み合わせて運用させる「分散投資」を選択します。

また、投資のタイミングを分散する「ドルコスト平均法」をとります。

掛金を定期的・継続的に拠出することで、値段が高いときには少ない数量を、値段が安いときに多くの数量を購入し、タイミングの分散を図ります。

さらにリスクをコントロールするという意味では、目先の動きを追いかけるのではなく、長期的な視点でゆるやかに資産価値が上昇していくことを待つスタンスを取ります。

パッシブ運用、アクティブ運用

投資信託の運用方法には、パッシブ運用(インデックス投資)とアクティブ運用(アクティブ投資)というスタイルがあります。

いずれも、日経平均やTOPIX(東証株価指数)、S&P500、ダウ平均といった指数をベンチマーク(比較指数)として、投資信託の運用を行う方法です。

パッシブ運用(インデックス投資)の目的は、ベンチマーク(比較指標)と連動させることです。

日経平均が3%上昇したら、運用資産も日経平均に連動して3%上昇する、あるいは、日経平均が1%減少したら、運用資産も日経平均に連動して1%減少する、といったようにベンチマークの値動きと同じ値動きを目指します。

ベンチマークの値動きを大きく上回ることも下回ることもありません。パッシブ(passive)は受動的、消極的という意味です。

ベンチマークと同じ動きはどうやって実現するのかというと、たとえば、日経平均225社の株式を保有すれば、日経平均の値動きと同じ値動きを自身の保有資産に実現できます。

そういった理屈で、主にベンチマークの構成銘柄に投資し、ベンチマークに連動する資産運用を目指すのがパッシブ運用(インデックス投資)です。

アクティブ運用(アクティブ投資)の目的は、運用実績がベンチマーク(比較指数)を上回ることです。アクティブ(active)は能動的、積極的という意味です。

ベンチマークに勝つために、専門家の分析により、成長性のある会社や株価の割安な銘柄などを投資先に組み入れます。

パッシブ運用(インデックス投資)は負けないことを目指すのに対して、アクティブ運用(アクティブ投資)は勝つことを目指します。

中長期的にベンチマークを上回る運用成果を目指すのがアクティブ運用(アクティブ投資)です。

運用手数料は、専門家の分析や組み入れの手間を要するアクティブ運用(アクティブ投資)の方が、パッシブ運用(インデックス投資)よりも、高いのが一般的です。

基準価額

投資信託の売買は、毎日夜に1度公表される基準価額で行われます。

日本国内の資産は当日の終値、時差がある海外の資産は前営業日の終値で算出されます。

投資信託購入時の制度利用

投資信託の購入にあたり、NISA、つみたてNISA、個人型確定拠出年金(iDeCo)、企業型確定拠出年金を利用することをおすすめします。

いずれも税制優遇があるため、一般口座、特定口座での取引と比較してお得に運用を行うことができます。

各制度の詳細は関連記事をご覧ください。

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投資商品の理解

女性とノートパソコン

投資信託商品に対する理解を進めましょう。

投資信託では商品の選択が投資判断といえます。

商品により、預金、国内株式、海外株式(先進国・新興国)、国内債権、海外債権(先進国・新興国)に投資しているわけです。日本・世界の動きが、投資先にどのような動きをもたらしているのか、いち投資家として、目を見張って、情報を集めたり、仲間と意見交換してみるのが良いと思います。

商品選びにあたり、投資信託は投資先の詰め合わせではありますが、その中身を知っておくことが大切だと私は考えています。

選ぶのは投資商品ではありますが、実際にお金が届くのは、投資先1社1社です。

投資先が分かりやすい商品が良い商品だと思います。

代表的な投資商品タイプをご案内します。

ETF

投資信託には、ETF(上場投資信託)と呼ばれるものがあります。

ETFは、Exchange Traded Fundの略で、名前の通り、上場している投資信託です。

日経平均株価、東証株価指数、日経株価指数300など特定の指数に連動するように構成・運用されている投資信託です。

非上場の投資信託は1日1回しか取引ができませんが、ETFは上場株式と同じように、証券コードを持ち、証券取引所の取引時間は、何度でも売買ができます。

米国ETF

アメリカの証券取引所に上場している投資信託です。NYダウやS&P500を指数にしたもの、アメリカの高配当株式を投資対象としたものなどがあります。

S&P500を指数にしたもののイメージは、たとえば、アップルに2.30%、マイクロソフトに1.63%、アマゾンに1.26%、ジョンソン&ジョンソンに0.98%、バンクオブアメリカに0.77%、そして、そのほかにより低い比率で計500社に投資していくというものです。

全世界株式

先進国だけでなく、新興国も含めた世界中の国に投資を行うことができる商品です。

世界中に投資することから、手数料が高くなりがちです。中には低い手数料の商品もありますので、各商品の手数料率を必ず確認するようにしましょう。

分散投資型

日本や先進国の株式、債券だけでなく、新興国の株式、債券や不動産、コモディティ(商品)など多様な資産を組み入れたバランス型の投資信託商品です。

複数の投資対象に分散させるという意味でバランスをとっていることに安心感がある場合には魅力的なタイプです。

ただし、どこに投資しているのかは分かりにくくなってしまいます。

高配当ETF

資産の値上がりに加えて、配当金による収入も目指したタイプの上場投資信託です。高配当の会社の株式で構成されています。

高い配当利回りを期待できる一方で、資産の値上がり率が、他の投資信託と比べて低いかもしれません。

投資の判断軸

リスクを分散して株式投資する仕組みになっている投資信託ではありますが、投資を行うにあたり、商品を選択するという投資判断が必要です。

投資期間

投資結果を受け取るまでの投資期間で考えます。

投資結果を受け取る予定の65歳までまだ30年ある場合には、積極的な運用を行うのが良いです。

逆にあと10年で65歳だというときには、元本割れのリスクを見逃すことはできませんので、安定的な運用を行うように債券の割合が多い投資信託商品を選択するのが良いと考えます。

手数料(信託報酬)で判断

手数料(信託報酬)が2%〜3%というのは、高すぎると考えましょう。

1%も高いかなと思います。

事実、0.2%、0.17%の商品はあります。

手数料が高いのは手間がかかってるからであり、その分、利用者にとって、過剰品質の場合も多いのです。

シミュレーション

各証券会社のwebページでは、毎月の積立金額、積立期間、期待運用利率を選択することで、将来の運用金額(積立金額と運用益)のシミュレーションを行うことができます。

将来がどうなるかは分かりませんが、将来これだけの運用実績をあげていたいという目標から今の時点でできること(条件に合致する商品選択すること)を行うようにします。

口コミ

気になる商品の情報を集めましょう。

そして、良い情報も悪い情報もフェアな距離感で読み込みましょう。

十分な判断期間

短い判断期間で決定するのは、おすすめしません。

投資信託の仕組みを理解するのは、あまり簡単ではありません。分からないことを書き出すこと、分からないことを解消することに時間をかけ、自身の判断で投資ができるように変わっていきましょう。

恥ずかしながら、最初に投資信託を購入したのは企業型確定拠出年金だったため、本社総務より期日が決められており、よく学びもしないまま、高リターンで安全とうたわれたバランス型の投資信託商品を選択しました。

手数料(信託報酬)は1.08%と高く、日本や先進国の株式、債券だけでなく、新興国の株式、債券や不動産、コモディティ(商品)など多様な資産が組み入れられていて、何に自身が投資しているのか、結局分かりませんでした。

その後、株式投資の学びを重ねて、自身で判断するようになってから、別の商品に切り替えています。

おわりに

最後までご覧いただきありがとうございます。

投資信託は、少額から行える投資ですから、思い切り良く始める方も多いと思います。

しかし、投資は投資なので投資信託の知識を集めた方が良いと私は考えています。商品を理解することと、投資の判断軸と照らし合わせることでより良い運用に近づけることができるはずです。

投資はギャンブルとは違いますから、行動(選択)の根拠を持って、自身がなぜその選択をしたのかを説明できるようにしておきたいものです。

あらためて投資信託を選ぼうと考えてからは、3か月間くらいは色々な情報を集めてました。

投資に限らず、説明できない行動をしてはダメだと思います。

今回の記事が皆さまの投資信託への投資検討にお役に立ちできますと幸いです。

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