日本の成年男性の81.1%、成年女性の82.9%の方が生命保険に加入しています(出典:生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/令和元年度)。
しかしながら、平均の保険加入期間は13年だそうです。理由は、多くの方が保険料の支払いを負担に感じ、途中解約してしまうためだそうです。
積み立てタイプの保険の場合、解約時にお金が戻ってきます(解約返戻金)。
しかし、払い込み期間が短かいうちに解約する場合には、支払った金額よりも手元に戻ってくるお金は減少します。損をしても解約する方が多いのが実態です。
年収のうち保険料の割合は5〜6%、金額は年間平均38.2万円という調査結果があります(出典:公益財団法人 生命保険文化センター 平成30年度「生命保険に関する全国実態調査」)。
この金額にたとえば契約期間30年を乗じると38.2万円×30年間=11,460,000円。
生命保険は自宅の次に高い買い物だと、保険会社に勤める友人が教えてくれました。
これだけ大きな金額を支払っているということは、ハワイ向けの旅費を作るにあたって、見直し効果が期待できそうです。
保険料の見直しは、保険会社を切り替えるだけでは、そこまで大きな効果を得ることはできません。保険料の安さ、補償の充実に対して、どの保険会社もあまり差がありません。
効果を大きく得るために、加入プランの再検討を行います。
今回は、加入プランの見直しのポイントとして、「積み立てタイプから掛け捨てタイプへの切り替え」、「保険金額の見直し」の2つをご案内させていただきます。
掛け捨てタイプから積み立てタイプへの切り替え(その貯蓄(投資)は必要ですか?)
生命保険には、保険料の扱われ方によって、掛け捨てタイプ、積み立てタイプがあります。
掛け捨てという言葉、印象が悪いですね。「掛け」というのも「賭け」のようですし、「捨て」というところも、お金を捨てるようなイメージです。
それに比べて、積み立ては、なんてお行儀が良い言葉なのでしょう。将来に備えるというイメージがはっきりと伝わってきます。
掛け捨てタイプも積み立てタイプもそれぞれメリットとデメリットがございますが、ここでおすすめするのは、シンプルに分かりやすい「掛け捨てタイプ」です。
掛け捨てタイプの特徴
・ 契約期間中、ご自身に万が一のことがあったら、保険金がご家族の手元に残る
・ 解約返戻金は、積み立てタイプに比べて少ないか、全くない
・ 保険料は積み立てタイプに比べて安い
海外旅行に行くときに加入を検討する海外旅行保険や、レンタカーを利用する際に加入を検討するオプションの損害保険に仕組みは近いです。
掛け捨てと名前が付けられていますが、保険の本来目的である「万が一への備え」に対しては、積み立てタイプに不足することなく備えられています。
一方、積み立てタイプは、「万が一への備え」に加えて「貯蓄の機能」を兼ね揃えます。
貯蓄といえば、毎月一定額を給与口座から定期預金や別の口座への振り替えで行なっている方もいます。その方法と違うのは、貯蓄といえど、預けて運用してもらっているので、定期預金や普通預金に預けているよりも利回りが良いという点です。
ただし、払い込み期間中に解約をすると既に支払った保険料累計額よりも少ない金額が戻ることになります。その場合には定期預金や普通預金に預けていた方が良かったと思うことでしょう。
払い込み期間を超えて解約すると、既に支払った保険料累計額よりも多い金額を受け取ることが一般的です。
払い込み期間中は無理なく支払っていける保険料の設定にすることが大切だと考えます。
私自身は、保険は保険、貯蓄(投資)は貯蓄(投資)と考えているので、保険と貯蓄(投資)がセットになっている商品に魅力を感じません。それよりも年間平均38.2万円を保険+貯蓄で支払い続けることに心配があります。
今、私に万が一のことが起きた場合、妻が死亡保険金を3,000万円受け取れる掛け捨てタイプの生命保険に加入しており、月々の保険料は2,940円、年間保険料は3.5万円です。
今後、家族が増えたり、年齢が変わったり、ライフイベントの度に見直しを行っていきますが、貯蓄型に移ることはないと思います。
その代わりに貯蓄は、預金、つみたてNISA、確定拠出年金、従業員持株会で行っています。
貯蓄の手段は積み立てタイプの保険だけではないこと、払い込み期間中の解約は損になることが多いので、支払金額の設定は慎重に行う必要があることを踏まえて、保険の契約を検討しました。
保険金額の見直し(保険金はそこまで必要ですか?)
誰しも働けなくなった後の老後資金を確保しなくてはなりません。
資産形成にむけて、会社員の方でも検討できる内容をあげてみます。もちろん、積み立てタイプの保険も選択肢に入ります。
・ 年金
・ 退職金
・ これからの給料上昇
・ 従業員持株会
・ 確定拠出年金
・ 投資信託
・ ふるさと納税
・ NISA・つみたてNISA
・ 不動産投資
・ 副業
・ 仮想通貨
・ 積み立てタイプの保険
・ 定期預金
・ 貯金
・ 外貨
・ 太陽光発電
・ 相続資産
私自身は上記のうち、年金、退職金、これからの給料上昇、従業員持株会、確定拠出年金、ふるさと納税、つみたてNISA、不動産投資、副業、仮想通貨、貯金により、老後資金の確保に動いています。
色々試していますが、月10万円×12ヶ月×30年=3,600万円の貯金(給与口座から貯金口座へへ毎月自動振り込みされる方法)が、心配性の妻を最も安心させているかもしれません。
まとまったお金が必要になれば、月々の貯金額を減額したり、貯金を取り崩すことができます。
そして何より、複数の投資を実現するための「本業を頑張ります」が、1番大切だと思います。
万が一に備える保険金はいくらが妥当か
支払うお金が保険料です。受け取るお金が保険金です。
死亡時にいくらの保険金を受け取れるかによって、支払う保険料が変わります。受け取る保険金額を高く設定すれば、保険料も高くなりますし、受け取る保険金額を抑えれば、保険料は安くなります。
設定しておきたい保険金額は、
「想定した生活に必要な金額−遺族年金−夫の遺産−ご自身の収入」と「残された方が亡くなるまでの年数」
を使って計算できます。
想定した生活に必要な金額
いくらの保険金を設定して契約するのかについては「想定」と「計算」が必要です。まずは、夫が死亡した後のことをなるべく詳しく想定してみましょう。
どこに住むのか。家賃はいくら必要か。何の仕事をするのか。そのときの年収はいくらか。遺族年金はいくらもらえるのか。夫の資産は何がいくら残るのか。ペットを飼うのか。
夫がいなくなったあとのことを真剣に考え始めると、とても悲しい気持ちになります。しかし、実際には、ここまで考えないと本当に必要な保険金額は判断できないはずです。
保険に詳しい人にすすめられた金額では足りないかもしれませんし、一方で多くの保険料を負担し過ぎているかもしれません。
遺族年金
遺族年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者が亡くなられたときに遺族が受け取ることができる年金です。
受給条件が複数あったり、日本年金機構のホームページが難しい言葉で解読が難しかったり、数多くの専門家による解説のページも複雑ゆえに表現が様々であり、混乱するのが年金制度です。
分からないことは、直接、年金事務所の方に聞くのが1番です。
日本年金機構のホームページは、色々な状況の方を含めての記載になっているため、複雑な表現になっています。
自分自身がどこに当てはまるのかだけを追いかければ、必要な情報にたどり着けるはずです。
年金事務所の方とお話する前の事前準備として、遺族年金の基礎的な考え方をご案内していきます。
遺族基礎年金、遺族厚生年金
遺族年金には、遺族基礎年金、遺族厚生年金の2つがあります。
ライフステージに合わせた支給設計がなされており、特にお金が必要となる子育てにスポットが当たっています。亡くなられた方の年金の納付状況により、18歳未満の子がいるかによって、受給額が変わってきます。
遺族基礎年金の主旨
子供のいる家庭を子供が成長するまでの間(高校を卒業するまで)、支えることを目的とした年金です。
子供のいない家庭、あるいは子供が19歳以上の家庭には支給されません。
遺族厚生年金の主旨
遺族年金は、子供がいないと受給できないか、または、子供がいる家庭と比べて受給額が少ない設計であるのが事実です。
厚生年金に加入している場合、たとえば、夫が会社員の場合には、子どもがいなくても妻は「遺族厚生年金」を一生涯受給できます。
自営業の方、会社員の方に分けて、受け取れる年金をまとめると次のようになります。
自営業の方
・ 遺族基礎年金
・ 寡婦年金(国民年金の救済策)
・ 死亡一時金(国民年金の救済策)
※ 死亡時に自営業でも厚生年金に加入していた場合には遺族厚生年金の受給可能性があります。
会社員の方
・ 遺族基礎年金
・ 遺族厚生年金
・ 中高齢寡婦加算
中高齢寡婦加算は、夫が死亡したとき、妻の年齢が40歳以上か、妻の年齢が40歳に達するときに子供が18歳未満である場合に、遺族厚生年金に上乗せして受給できる制度です。
遺族基礎年金を受給できない妻の生活水準が著しく低下しないようにするための制度です。
中高齢寡婦加算は、妻が65歳になるまで加算されます。
夫が死亡したときに、妻の年齢が40歳未満であり、子供がいない場合には加算されません。
最大40歳〜65歳まで、約1,500万円の受給が出来るので、受給できる方とできない方の差が大きな制度です。
このことから、生命保険の保険金額を決める際、子供がいない場合には、妻が40歳の誕生日をむかえるまでは、最低でも1,500万円の保険金を受け取れるようにしたいと考えます。
遺族年金の受給額を試算
次のケースを例にとり、遺族年金の受給額を試算していきます。試算に必要なのは、子供の有無、妻の年齢、賞与を含めた平均月収です。
家族構成:子供なし、夫35歳、妻39歳
夫:会社員、標準払込期間13年
賞与を含めた平均月収:40万円
厚生年金加入者向けに用意されている年金は、遺族基礎年金、遺族厚生年金、中高齢寡婦加算の3つです。
この例では、遺族基礎年金は子供がいないため、受給できません。
遺族厚生年金は受給できます。また、中高齢寡婦加算は妻が40歳になるまでに夫が死亡した場合には受給できないので、こちらの例では、中高齢寡婦加算は上乗せされません。
したがって、妻が受け取れる遺族年金は、遺族厚生年金の年額約52万円、月額約4.3万円です。
こちらの家庭に、今、万が一がおきたらに備えて、生命保険をおすすめするとしたら、その保険金額は、1,500万円以上です。
妻が40歳になるまでは中高齢寡婦加算が受給できないことから、最低1,500万円の保険金額を受け取れる生命保険に加入することをおすすめします。
そして、妻が40歳になったときや子供を授かった場合に、見直しを行うこともあわせておすすめします。
ネット保険であれば、月額1,800円から、万が一のときに、1,500万円の保険金を受け取れる掛け捨てタイプの保険がございます。
また、家族の年齢状況が変われば、見直しを行うことをおすすめします。家族構成や年金の受給条件が変わる年齢に到達することは、保険料を見直せるチャンスでもあります。
具体的には、子供が生まれたとき、妻の年齢が40歳になったときです。
これらの場合には遺族年金の受給金額が増加し、「想定した生活に必要な金額−遺族年金−夫の遺産−ご自身の収入」で計算できる「必要保険金額(加入する死亡保険の死亡保障額)」が変わるので、保険料を下げて、受け取れる保険金額を下げても、夫がいなくなった後の妻の生活が不安になることがなくなるでしょう。
なお、遺族年金の仕組みが変わったときには、最初から試算し直す必要があることは、留意が必要です。
おわりに
最後までご覧いただきありがとうございます。
生命保険の選択は考え方次第だと思います。積み立てタイプにもメリットはありますし、掛け捨てタイプにもデメリットがあります。
情報を集めること、ご自身のケースで検討すること、家族で話し合うこと、必要に応じて信頼できる保険会社の方に相談することが、大切だと考えます。
夫が死亡した後のことなんて考えたくないからと、想定するのをあきらめてしまうと保険料の見直しを十分に行うことができないので、ぜひ取り組んでいただければと思います。
今回の記事が皆さまの保険料見直しのお役に立てますと嬉しいです。
ファイナンス教室は、好きなときに好きなハワイへ行けるようになれればと、その方法を考え始めた教室です。ハワイ情報もぜひご覧になってください。
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